■今までは経済の右肩上がりを背景に,必死で業務システムを整備してきた。
その結果,企業の情報システムは,だんだん大きくかつ複雑になってきた。そして,上に述べたように色々な面で,情報システムの問題点が露呈してきた。
それは,適切なIT戦略を立案しそれを推進できなかった,もしくはしなかったためではないか?すなわち,ITマネージメントが弱かったためではないか?
・誰が戦略を立てる責任があるのかがはっきりしない。(CIOがいないか,またはいたとしてもその役割が明確でない)
・どういう戦略をたてたらいいのかわからない
・どう考えたらいいのかわからない
・判断項目や判断基準が無い
・たとえIT戦略が出せても,情報システムの規模が余り大きくかつ複雑に連携しているため,再構築するには費用と時間ががかかりすぎ,その決断がなかなかできないこのレガシーをひきずる「悪循環」がなかなか断ち切れなかった。
■一方,IT技術に関しても種々の課題を抱えていた。
・ハードウェア,ソフトウェア共に,まだまだ発展段階。
・システム構築の歴史も浅い。
・ハードウェアの技術進歩スピードに比べ,ソフトウェアの技術の進歩は遅くかつ人が追随しにくい。
・情報システムのアーキテクチャという概念は,日本には定着していない
しかし,インターネットに代表されるネットワークコンピューティングの技術進歩は急速であり,ビジネスへのインパクトも徐々に大きくなりつつある。
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■では,一体どうすればいいのか?
一言で答えは難しいが,参考になるキーワードは以下のとおりである。
・経営者が,まずきちんとした経営戦略,事業ビジョンを明確にし,それを実現するためにITをいかに活用すればいいかを真剣に考えること。
・経営者が,マスメディアやITベンダーの宣伝に踊らされないこと。(例えば,ERP,SCM,CRMなどの甘言)
・経営者がよそがやっているからうちもやるというようなIT投資をしないこと。自社で本当に必要なことだけをやればよい。
・情報システムは,極力スリムに作るのがベストである。自社の企業体力にあったシステムとすることが肝要である。(投資だけでなく維持管理もよく考える。)
・わからないITやシステムに関しては,自社の専門家(但し,業務もわかるITプロフェッショナルである必要がある)や,外部のコンサルタントに相談すること。 |