ソリューションのヒント

情報システム化の幻想     




■貴社の情報システム化について,間違った「幻想」を抱いてはいませんか?
 マスメディアやベンダーの宣伝に踊らされてはいませんか?

 そのようなことがないように,ITや企業情報システムに関して皆様が抱いておられるかもしれない「幻想」を中心に,トピックス的に少しづつご紹介していきたいと思います。
第1話経営パラダイムの転換と企業情報システムの現状
1:経営パラダイムの転換
 成長下の日本経済の中にあって、企業の生き残りをかけ、競争力強化をめざした事業環境の急速な変化が始まっている。それに伴い、各業務領域での経営パラダイムも大きく様変わりしようとしている。

務面では,財務,会計を中心とした売上,コスト管理の考え方から,企業価値とエクイティをベースとした財務の考え方へと変化をしている。

事面では、年功序列や減点主義をベースとした社内調整型人材優遇の人事制度から、能力と成果主義をベースとしたより実践的な人事制度への変化が求められている。また、必要とされる人材も、会社従属型人材から、自律型人材へと変化している。
 
務推進面では、組織の中でクローズした業務プロセスの効率化や省力化を追求した仕事の仕方から、サプライチェーンに代表されるような、end-to-endの顧客へのサービス提供のプロセスとしての業務推進の方向へ変化している。

営管理面では,財務,人事,組織,業務などのいわゆる管理のための経営管理から,リスクや将来を見据えたバランスド・スコアカードに見られるような実質的な意思決定を迫られるような経営管理に変化している。
たシステム面では,従来の業務,財務,人事,管理などのプロセスを忠実に支援し,業務効率化や省力化を実現するシステムから,ビジネスを強力に支援し企業競争力強化の強力な武器となるシステムへの変化が要請されている。しかし,現状の企業情報システムはこの変化に充分に追随できるのであろうか?
2:現状と課題(一般的な傾向)
企業情報システムは,現状のビジネスに適合したシステムになっていない。

情報システムは企業経営のお荷物になってはいないか?

・情報システムがビジネスを強力に支援できていない。(SCM,CRMなど)
・業務とシステムとのギャップが大きい。(機能や使い勝手)
・データの統合化が遅れている(情報が散在している,データ連携がとれない。
・特に経営面や管理面で,情報が有効に活用されていない。
・情報システムが,ビジネスの急速な変化に追いつかない。
    
なりゆき開発により,システムが肥大化・複雑化している。

システム維持管理コストの増大だけではなく,新規システム開発投資の増大,開発スピードの低下を引き起こしている

・場当たり的なシステム開発による投資費用の増加
・ツギハギだらけのサボテン型システム
    −>システム維持管理費用の増大
    −>システム改善リードタイムの増大
    −>システム運用が複雑化

企業システムの方向性がはっきりとは見えていない。

企業情報システムはどこへ行こうとしているのか?

・最新の情報技術活用による効率的なシステムが実現できていない。(インターネット,Web,携帯端末,Java,EJB,オブジェクト指向・・)
・新しいシステムアーキテクチャへ追随できていない。システムの陳腐化が進んでいる。
・データオリエンテッドな情報システム設計になっていない
・システム運用・開発要員とそのスキルの不足(IT技術,開発方法論,プロジェクトマネージメント,システム運用技術)
・優秀なシステムコンサルタント,SEが少ない。また,養成されていない。
・システム開発期間,開発費用の増大(適正な投資かどうかの判断がつかない)"
3:では,何故そうなっているのか?
までは経済の右肩上がりを背景に,必死で業務システムを整備してきた。

 その結果,企業の情報システムは,だんだん大きくかつ複雑になってきた。そして,上に述べたように色々な面で,情報システムの問題点が露呈してきた。

それは,適切なIT戦略を立案しそれを推進できなかった,もしくはしなかったためではないか?すなわち,ITマネージメントが弱かったためではないか?

誰が戦略を立てる責任があるのかがはっきりしない。(CIOがいないか,またはいたとしてもその役割が明確でない)

どういう戦略をたてたらいいのかわからない

どう考えたらいいのかわからない

判断項目や判断基準が無い

・たとえIT戦略が出せても,情報システムの規模が余り大きくかつ複雑に連携しているため,再構築するには費用と時間ががかかりすぎ,その決断がなかなかできないこのレガシーをひきずる「悪循環」がなかなか断ち切れなかった。

方,IT技術に関しても種々の課題を抱えていた。
ハードウェア,ソフトウェア共に,まだまだ発展段階

システム構築の歴史も浅い

ハードウェアの技術進歩スピードに比べ,ソフトウェアの技術の進歩は遅くかつ人が追随しにくい

情報システムのアーキテクチャという概念は,日本には定着していない

  しかし,インターネットに代表されるネットワークコンピューティングの技術進歩は急速であり,ビジネスへのインパクトも徐々に大きくなりつつある。


は,一体どうすればいいのか?

  一言で答えは難しいが,参考になるキーワードは以下のとおりである。

経営者が,まずきちんとした経営戦略,事業ビジョンを明確にし,それを実現するためにITをいかに活用すればいいかを真剣に考えること。

経営者が,マスメディアやITベンダーの宣伝に踊らされないこと。(例えば,ERP,SCM,CRMなどの甘言)

経営者がよそがやっているからうちもやるというようなIT投資をしないこと。自社で本当に必要なことだけをやればよい。

情報システムは,極力スリムに作るのがベストである。自社の企業体力にあったシステムとすることが肝要である。(投資だけでなく維持管理もよく考える。)

わからないITやシステムに関しては,自社の専門家(但し,業務もわかるITプロフェッショナルである必要がある)や,外部のコンサルタントに相談すること。
今後の予告
第2話   情報システムはなぜ大変か?  第5話    情報システムの幻想その3
      「3文字熟語の幻想」
 
3文字熟語はありがたいのか 
第3話 情報システムの幻想その1
      「機能の幻想」

機能の豊富な情報システムが本当にいいシステムか?
第6話  情報システムの幻想その4
     「アウトソーシングの幻想」

システムは自社のコアコンピタンスではないからアウトソーシングすればいいのか?
第4話 情報システムの幻想その2
      「ERPの幻想」

ERPはシステム化の切り札か?
ERPを入れないと,本当にビジネスに乗り遅れるのか?
   

以下続く